Blog

2025/01/11 23:27





大麻草の茎から皮を剥ぎ、それを研ぎ澄ました繊維を「精麻」(せいま)といいます。

御神事に使われる麻もこの「精麻」で、その輝きの中から特に強い祓い清めの力が出てくる源泉として据えられ、古来より日本では大切に扱われてきました。

神社仏閣では多くの精麻が使われており、神事に不可欠なものとされております。


祓い清めの植物として、歴史は遠く縄文の時代に遡り、衣料や道具の素材として人々の暮らしを支えてきました。

しかし日本において精麻が特別な存在であり続けてきたのは、単なる実用の素材を超えた

神聖な力への信仰があったからです。


精麻は古より、「海水でも祓いきれない穢れを祓う」特別な素材として、神と人間とを取り結ぶ場面に必ず用いられてきました。

神社の境内で目にする注連縄も、お賽銭箱の前に下がる鈴緒も、神主がお祓いに用いる大麻(おおぬさ)も

すべて精麻からつくられています。


「ぬさ」とは麻の古名であり、その美称が「おおぬさ」です。

大麻は『古事記』にも記され、天照大神の岩戸神話にまで由来が遡ります。

伊勢神宮のお札「神宮大麻」も、かつては実際に大麻草が使われていました。麻は神道において

神の象徴そのものでもあったのです。


精麻をそっと手に取り、身体を撫でると邪気が祓われると伝えられています。

外出先から戻ったときや気になるときに身体を撫でると悪いものを祓ってくれるとされ

神社では「祓い麻」として授与するところもあります。繊維のひとすじひとすじに宿る清浄さが

目に見えない穢れを引き受けてくれる——そのような感覚が

長い年月をかけて日本人の心に刻まれてきました。


suiteが精麻を作品に用いるのは、この素材が持つ長い記憶を

住まいの中に静かに息づかせたいと思うからです。

手に触れるたびにわずかな清浄さを感じ、日常の中に祓いの余白をつくること。

精麻はそのような、見えない働きをそっと担ってくれる存在です。